唯一の家族が突然死ぬことに
それからけっこうすぐおばあちゃんの具合が悪くなった。あせった。まさか死んじゃわないよね?考えても無かったがもう78歳だった。どうなってもおかしくない年だ、医者嫌いのおばあちゃんを何とか説得して医者に連れて行った。その時は何ともなかったようだ。それから何日かして夜コーヒーみたいなつぶつぶの血を吐いた。超あせって救急車を呼んで江戸川病院に入院させた。
気がつかなかったがご飯をほとんど食べてないようだった。関心が無さすぎた。それにも超後悔した。『何やってたんだ俺は』と。とりあえず入院したから安心していた。時間はたっぷりあったので毎日病室に行き何時間かそこいた。おばあちゃんは暴れちゃって帰りたがるようでタチの悪い患者になっていた。縛り付けられちゃってる。挙句の果てになんか大人しくなる薬を打たれて。『もう意識は戻らないかもしれません』言われた。当時はそれが当たり前なのかと思い何も言わなかったが。後でメッチャ頭に来た。薬で植物人間にされちゃったのだから。
でも、更にあとで介護職に就いて分かったが、こんなタチの悪い患者は恐ろしく迷惑で早く出て行って欲しいくらいだと。
それまで家族や介護職員が介護で虐待したり。殺したりする事を恐ろしい人間だと思っていたが、実際に認知症のレベルの高い人を介護する大変さを自分が老人ホームで働いて分かった。当時はおばあちゃんが寝たきりになっても私が面倒見るんだと思っていたが、はっきり言って私には何年も面倒が見れる自信は今は無い。
突然江戸川病院から電話が来た。おばあちゃんが死んだ。頭の中が真っ白だった。病院に行くとおばあちゃんはベッド上に横たわって死んでいた。オヤジの妹夫婦も来た。じっとおばあちゃんを見ていた。おばさん(オヤジの妹)が『ありがとうね』と言った瞬間一気に悲しみが吹き出した。人前で泣くのは絶対に嫌だと昔から思っていたが抑える事はとてもできなかった。
帰宅後、もう誰もいない一人ぼっちになっちゃった。1か月位毎日泣いていた。女っ気ゼロの私、女の友達さえいない私にはもちろん彼女もいなかった。誰かにそばにいて欲しいのに。妹夫婦の所に行きたいが迷惑かけたらとほとんど行けず。親友に1回だけ泊まりに来てもらったが、その夜も寝る時に泣いてしまった。それで親友も泣いていた。一人でいるのが辛すぎてもっと何日も泊まって欲しかったが迷惑かと思いお願いできなかった。
突然のおばあちゃんの死。ナデナデしてもらったことも抱きしめられた事もなかったおばあちゃん。あまり優しくはなかったけど唯一の家族だった。小さい頃たまに江戸川に連れてってもらってカニを取って、そこで転んでズボンがドロドロになって電車で帰ったり、市川の真間山に連れて行ってもらった時にいつも木の根元の穴にいるヒキガエルを持って帰るのにお婆ちゃんの買い物袋を汚れちゃうのに使わせてくれたり、上野の水族館に連れっててくれたりもした。行く途中の電車の中で空いている席が無いとおばあちゃんの靴に座らせてくれた。なつかしい思いで。おばあちゃんにプレゼントしたことも多分無い。おばあちゃんが頭痛いって言ってる時でも、『おばあちゃんご飯』と言ってた事に恐ろしく後悔した。おばあちゃん孝行何一つできずだった。
おばあちゃんのタンスを整理していると20万くらい出てきた。おばあちゃんも生保に黙ってコッソリお金を貯めていた。当時たぶん20万円位貯金を持っていたが更にこの20万円でちょっと金銭的不安が解消と思ったが、オジさん(オヤジの兄)にそれを言うと『これは、お前の物じゃないんだからな』と持って行ってしまった。
おばあちゃんの死の苦痛からだいぶ回復するのに半年かかった。あまりにひどいストレスだったせいか、その頃から体がかゆくなるようになってしまった。
人はいつ死ぬか分からないんです。まだ孝行してない人は後悔しないうちに1つでも孝行しとくと後悔しなくて済むかもです。
ついに一人で生きなくてはならなくなった。
人生初の一人暮らし、一人暮らしなんて一生する気なんて無かったのに、1人で75000円の家賃とか有り得ない。低収入の私は風呂付きは無理だった。更に生活保護も切れた。生活保護に内緒でコッソリ貯めてた20万円(本来は返さなくちゃいけない^^;)。でも一人で足の悪い私が何の金銭的支えが無くなったと思うと超不安になった。
おばさん(オヤジの妹)が方位にうるさい人で私は全然そんなの信じてないが方角が悪いなんて言われるとやっぱりちょっと気持ち悪い、しかたなく四畳半風呂なしで35000円もするアパートにした。他に2部屋で26000円の所があるのに、ホントはそっちにしたかった。引っ越したがおばあちゃんの捨てられない荷物などもあり、狭い部屋は満杯だった。
そのアパートの1階に80歳くらいのおばあさんがいた。たまに何か買い物あるか聞いたりして、けっこうしゃべっていたが半年も経たずにお亡くなりに。
その後またおばあさんが入居した。最初は仲良かったが、なぜか忘れたがある日から仲が悪くなった。一回『火事ですブーブー』という警報が1階から聞こえてきて事がある。その婆さんの部屋を覗くとけっこうな煙が、『冗談じゃない火事になっちゃう』と裏から見ると、婆さんは寝ていた。中に勝手に入って婆さんを起こすと『何やってるの?ヾ(`Д´*)ノ』と言ったが煙の方を指差すと慌てて火を消していた。ありがとうと言っていたが無視して部屋に帰った。
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